ギターと三線(三味線)

縁あって、宮古民謡を習うことになりました。琉球・沖縄の民謡といえば、三線です。

普段6弦のギターに親しんでいる者が、3絃の弦楽器を始める際、ギター経験がいかほどのアドバンテージになるのか、または足を引っ張ることになるのか、そのあたりを考察してみたいと思います。

三線が簡単に思ったところと難しいところ

6弦が3絃になるので、簡単に思えたところはありますね。しかし、意外と難しい部分もあります。

(ちなみに「絃」は当用漢字じゃないのであまり使われないですが、もともと弦楽器の弦は「絃」だったので、民謡の世界では好まれて使われるようです。)

チューニング(ちんだみ)

まずは、調弦、チューニングはかんたんですね。三線用語では「ちんだみ」といいます。

3絃(おーじる)と1絃(めーじる)はオクターブ違いです。

6絃合わせていくのに比べれば、手間は5分の1くらいじゃないでしょうか。

2絃(なかじる)は、3絃からド・ファ・ドとなるのがレギュラーチューニング(本調子)で、ド・ソ・ドとなるのが、二揚げです。(イレギュラーチューニングは他にもあります。)

便宜上、ドから数えましたが、これは流動的で、声の高さに合わせて変えます。(教室でみんなで練習する時は、何番とかに合わせますが。)

A(ラ)に合わす絃がないので、音叉だと使いにくいですね。三線や琴でも使われる、調子笛が推奨されています。

私は篠笛を持っているので、それに合わすようにしています。

なお、カポタストは使いません。

コード

コードという概念がないのか、和音はほとんど使わないです。最後の締めの部分で、オープンコードを鳴らすくらい?

唄の伴奏の場合、ギターのようなコードを鳴らすのではなく、ベースラインと、メロディラインを組み合わせて弾いているという感じですね。

唄のメロディと、伴奏は、全く同じユニゾンではなく、途中途中でベース音が入ったり、修飾音が入ったりするので、歌いながらはちょっと混乱しますけど、手癖のように覚えてしまえば、なんということもないのでしょう。

絃の押さえ方

左手の絃の押さえ方は、ギターとかなり違いがあります。

三線は人差し指と、中指、小指の3本の指で押さえます。宮古民謡では薬指は使いませんが、奄美大島では薬指を使うそうです。

セーハ(バレー)は使わない

左手の指が複数の絃を同時に押さえる「セーハ(バレー)」はありません。

ギターの場合、バレーコードを多用するため、左手のポジションは人差し指が主導するような感じがありますが、三線は、親指がネック(棹)のトップに常にかかっています。

三線にはフレットがありませんので、親指からの距離で、音程を決める位置(勘所)を判断しているのです。

感覚としては、ネックを握るというより、棹の先からつまみ揚げているようなイメージですね。

(親指をトップに置いたままでは届かないハイポジションを使う曲もあるようですが、まだ習っていません。)

右手の弾き方

フラメンコギターは、伸ばした爪で弾きますが、三線の演奏には、道具を使います。

これが、ギターのピックとはずいぶん違います。

ツメを使う

三線で使うピックは「ツメ」とか「バチ」と呼ばれます。

指に挟んでもつというより、指や爪の延長となるように作られています。

私は水牛の角に指を突っ込む穴を開けたものを使っておりますが、木製のものや、いろんな形状のものがあります。

ピックともずいぶん感覚は違っていて、アポヤンド奏法で弾きます。

「ツメ」の重さを利用して弾くということです。

楽器の構え方

ギタリストが最も苦労するのは、これじゃないかなと思うのが、構え方です。

ギターは、抱きかかえるように持ちますけど、三線のボディ(胴・太鼓)は、そんなに大きくなくて、抱きかかえるほどのボリュームがありません。ギターのような腰のクビレもありません。

胴は体に触れさせるのではなく、足の上に置くように持ちます。正座をすると、支えやすいです。

慣れないと、非常に不安定のような感じるのですが、足と、右手首だけで挟んで支えます。

左手で支えているわけではないのは、ギターと同じです。

指板が見えない

この構え方で三線を持つと、指板が前を向いているので、演奏しながら自分の指が見えなくなります。上から覗き込めば見えますが、そうすると、構えが崩れて、胴が自分の体に触れてしまいます。

胴が体にもたれてかかってくると、右手のピッキングがやりにくくなりますし、音色も変わってしまいます。

また、立って演奏する場合は、腰骨に載せるようにして持ちます。こうなると、指板は、若干下を向く形になりますので、ますます見えません。

どっちみちフレットはないので、見てもしょうがないのですが、まさに手探りになりますね。

初心者向けに棹の側面に貼る「勘所シール」というのはあるのですが、なんだか素人くさいので貼ってません。

三線のテクニック

まだ、習い始めなのでテクニックに関しての違いは、そう語れませんが、打ち音と、掛音というテクニックを教わりました。

打ち音

打ち音とは、ハンマリングのことです。左の指で打って、鳴らす音ですね。

修飾的な音や、早弾きのときに使います。

フラメンコギターでは、左手のハンマリングとプリングだけでもメロディを延々と鳴らしたりしますから、これは余裕綽々です。

掛音

掛音の方は、ツメで引っ掛けるように、アップストロークで弾くテクニックです。

基本的にツメは、親指のアポヤンドのようにダウンストロークで弾きますが、早弾きだったり修飾的に音を入れるときに、ツメの内側でアップストロークします。

フラメンコでも親指のツメの背中で掻き上げることはありますので、これも簡単。

ゴルペやラスゲアード、トレモロなど、フラメンコギターのテクニックは多彩なので、それに比べれば、三線のテクニックは地味に感じます。

楽譜の違い

これはギターと三線というより、西洋音楽と和楽器の違いという感じでもありますが、三線の楽譜は五線譜ではありません。

工工四(くんくんしー)といいまして、原稿用紙みたいにタテに並んでいる四角の枠に、左手のポジションを表す漢字の記号が書かれています。

開放音が「合」「四」「工」で、押さえる部分が「乙」「老」「上」「中」「尺」「五」「六」「七」「八」というような記号になっております。

その右側、原稿用紙だとふりがなを各部分に、繰り返し記号や、唄の始まりの記号、打ち音や掛音の記号、そして歌詞が併記されます。

五線譜が絶対的な音階を表しているのに対して、工工四はあくまで、左手の押さえる位置を表しているだけのことで、音の高さを示しているわけではありません。

二揚げなどのイレギュラーチューニングになっても、同じです。

工工四を眺めていても、メロディのイメージは湧いてきませんね。

民謡は耳コピ

フラメンコもそうですが、クラシックみたいに楽譜に忠実にということはないです。

歌を聞けば、けっこう音に揺れがあり、それが味になっておりますので、工工四には表せないところは耳コピですね。

同じ曲でも流派によって工工四も違っているそうです。

フラメンコも、楽譜で学ぶというより、先生の弾き方の真似をして学びますね。

巨匠の超絶技巧は、そのまま弾くより自分にあったように弾きやすくしたほうが、上手に聞こえます。

楽譜のない曲は耳コピで、楽譜はメモです。先人の書いた楽譜は、いいとこ参考書、カンニングペーパーってとこです。

工工四もそのようなものだと、私は思いました。

伝統芸能って、そういうものですよね。

なお、三線は和音はあまり使わないので、唄を聴き込めば、ギターよりかは、耳コピはしやすいです。

>>三線コンクール挑戦記連載中

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